キャサリン
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 台風と受験生は進路に向って着実に進んでいくが、竜巻と政党はいつの間にか現れてあっという間に勢力を拡大し、しばらくの間ユラユラと動き回り、いつの間にか宙に消えて行く。
 子供の頃、外で遊んでいると、時おり小さなつむじ風をみつけた。枯葉を巻き込んで空中洗濯機のように回転する竜巻は、直径数十センチ程度の大きさで、あっと言う間に消えてしまうものや、少しずつ高度上げて自然消滅してしまうものなど、色々な種類があった。ぼくはその小さな竜巻を眺め、コイツらは空に昇って育ち続け、いずれ大きな竜巻になって、その中でも特に強いやつはいずれ台風になるのだと思い込んでいた。
 昨日は選挙があった。ぼくの選挙会場は、子供の頃につむじ風を追いかけた学校だ。昔は作り込まれたロックガーデンと池があり、その周辺を樹木が立ち並び、その先にはこんもりとした雑木林があった。校舎は木造が三棟と鉄筋が二棟だったと思う。
 その敷地に今残っているのは改築し補強された鉄筋校舎のみ、木造校舎やロックガーデンや池や雑木林は跡形もない。どういう経緯でそうなったのかは知らないが、結果として子供たちは毎日ここで、風景の亡がらのような光景に浸かり、長い時間を過ごしているのだと思うと淋しい。
 長年にわたり、合理的に子供を管理することしか考えない、学校と父兄の「常識力」が、この虚しい空間をデザインしたアーチストだ。この光景はぼくの中で今の日本とダブりながらピントが重なった。そしていま立っている日本の国土の、以前は美しいロックガーデンだったはずの駐車場の片隅で、小さなつむじ風を探しつつ、キャサリンのオブジェを作ることを思いついた。

 文章を書いていたら、子供の頃に初めて憶えた台風の名前が、何となく頭に浮かんできたので、オブジェの名前にした。
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by HIKOSUKEA | 2013-04-03 15:17 | ●オブジェ・イラストなど
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